hosoyaalonsoの日記

文学懐疑のダンカイ世代

2022-01-01から1年間の記事一覧

エコノミスト達よ

本当にそうなのか、経済学界とメディアは一体どうなっているのか。直感でさえおかしいような話も。経済学者よ、エコノミストよ、いずこに。 ●池田信夫@ikedanob経済学は10年前からそういう状態。民放と週刊誌は、昔はリフレ派、最近はMMT。理系でいうと、テ…

もどかしき〈不在〉ー川端文学の魅力ー 【旧稿より】

伊藤整の『変容』(1968昭43)を読んだところである。 初老の画家の私生活、次々と女たちとの交わりを繰り返していく心理が克明に語られ、しかもそれが、この社会のただ中にあって、たしかな現実性をもつものとして迫ってくる。老いたことで、むしろ自在感を…

アマルコルド

むざんやな銀幕上のディカプリオ 樹上かせめてあの駅頭へ 茶半 …仏シャルルヴィル駅 ー余計なお世話だ、俺はギャツビー、米の田舎者よ。ーアマルコルド I remember! おじさん、リミニの樹上にも。ーAドロンもリミニで教師『静けさの最初の夜』と激突死。ーや…

I've got to paint.

I've got to paint まさに挑まん六ペンスたとえ烏の影も無くとも 茶半 "Have you ever thought of death?""Why should I? It doesn't matter."I stared at him. He stood before me, motionless, with a mocking smile in his eyes; but for all that, for a…

へのへのもへ子様

ご電便(小生の造語です)嬉しく拝見しました。例によって不十分な話を丁寧にお聴きいただきどうも有難うございました。 『月と六ペンス』は分からなくて当然です。多くの大人たちがあんな男の生き方を分かり、共感してしまったら、それこそ大変なことになり…

生きざらめやも

中原よ。地球は冬で寒くて暗い。 ぢや。さやうなら。 草野心平「空間」を声にしてみる、早世した畏友・高原達に向けて、 ぢや。そのうち。 として。 孤独だよ君もあいつもその横も 茶半 レイ・ミランド

自由思想の要件

確実な思索を行ってきたはずの仏文学者が、Twitterで以下のような発言をしている。 「からじゃないですか」→「むしろその逆をしている」→「しようとしているのだと思います」→「と断言してよろしいかと思います」と続く論述には、名の知れた責任ある人の公的…

ディストピアの悪夢

NYといっても場所によるのだろうが、ハーレム間近のコロンビア大近辺、クィーンズの下町、韓国人の白タクで行った酒場等、30年前は夜の一人歩きも気楽だった。但し地下鉄には乗らなかった。その後地下鉄も自警団が出来、NYは安全になったと聞いていたが、今…

限りある認識

「とにかく合理的に考えるべきよ、すべからく」と、タマラはいう。「合理か非合理かという二分法自体がはたして合理的といえるのかどうか、などと考えてみたらどうですか」と、私。「そんな余裕はないわ、人生は短いのよ」と、タマラ。タマラは、ユダヤ系の…

深秋の候

少しずつだが長年ため込んだものの整理をしている。 書類等で脹らんだごみ袋を毎回出している。不燃ごみもとうとう大袋一杯になった。月一度の収集日はすでに過ぎているので、しかたなく自分で出しに行くことに。 まず環境事務所で受付をして、遠距離の処分…

どこまで行くか

どこまで行くか、息つぎながら、痛み出だした手足かかえて、滲みはじめた不安もらして、どこまで行くか、わき目もふらず、人であふれる、あの街の先。 むろん自明、と答えたもうな、せめては笑顔ふりまきながら、野越え山越え、もひとつこえて、あの懐かしい…

共同幻想

かつて、吉本隆明の造語「共同幻想」は、いかにもあやうい概念でありながら(我々はそうと知っていたのだ)、「上部構造」の身動きできぬほどの重苦しさや、「社会通念」の息苦しい俗塵にまみれた馴れ合いを、「観念」でさえなく、「幻想」と名指す暴言によっ…

ほんとうのもの──イデアへの希求

椎名麟三は、獄中で「ほんとう」を求めて、徹底して問い直したのだという。その結果、彼の見出したものは政治的信条ではなく、宗教的信仰であった。 目の前にある現実が不十分でいかがわしく、うそうそしいものと見えるとき、人はほんとうのものを求めようと…

リズムを捨て、ロジックを採った。

130年前、我々はリズムを捨て、ロジックを採った。いわゆる言文一致体の創出である。もちろん、これは暴言に過ぎない。 古言のリズムはなお各所に残り、またロジックも、欧文脈のそれ以前から、和漢文の論脈も堅持されてきたはずである。がしかし、それほど…

「つつましい」努力

《自分が相手とともにいて孤独だと思うときは、相手も孤独なのだと、なぜそう考える余裕をもたないか。それこそ、真の意味の「理解」ということでありましょう。》 ──福田恆存 はっとさせる言葉である。 我々の感性は己れの心身を拠点として自他へと向けられ…

宰相と国葬

国葬反対だが、安倍氏は志を有していた点で評価に値する宰相であり、死して大きな宿題を残したと考えるべきで、国葬であるか否かはもはやメディアのネタでしかない、との意見に対して反論。 然りともいえますが、政治はやはり結果責任であると思います。我々…

リベラルな議論と弔い

私は安倍氏に対して両評価があることは当然と思っています。 見方によっては、安倍氏は、自身の改憲論を貫徹するより、反対派や野党に配慮した政策をとり、社会的にも保護的な姿勢を見せた総理だったとさえいえるでしょう。 こと政治的評価については、様々…

恐るべき外圧

恐るべき外圧は、黒船来航ならぬ、西からのそれとして現れるのでしょう。その時の我々の慌てぶりは見たくないものです。 が、それが極東の島嶼に棲息する我々の生き方なのかも知れませんね。世界の大きな動きが遅れて伝わり、脅威の出現に急遽対処せんと、右…

はたして日本は

中国の内陸部と沿岸部の対比を単に貧富の差とすると、中国のイメージはだいぶ今の現実から離れてしまうと思います。 まず、中国に行って驚くのは、各地の多くの町が、それこそ巨大な都市となっていることです。北京、上海以外にも、重慶、天津、成都、南京、…

江戸時代のおわり

こうした池田信夫の指摘が重くのしかかってきます。逃れようもなく。無論、二次の大戦等を度外視して、がしかし、現時点の危機を大づかみに突き付けてくるのです。コロナも終わりホッとして、さて、などと言っている場合ではないぞ、と。 厳しい時代であるこ…

上海人

中国人留学生達に、上海人(シャンハイレン)をどう思うかと聞くと、即「好きではありません」という答えが返ってきます。じゃあ君たちは実際に上海人を知ってるのかい、と尋ねると、「知りません」と平気で答えます。 そこで私が「代々上海っ子という若者を知…

畏友の書いた本

長年の海外生活、北朝鮮、トンガ、そして上海での経験と見聞、さらにすぐれた見識を込めた一冊。 中には、次のような人間ドラマも。阿修羅のごとく、かつ哀れな一景。 《それからしばらくたって、仲間から牧野さん(仮名)が亡くなったという連絡がありまし…

ゴダールが死んだ。

『気狂いピエロ』の巻頭で、風呂に浸かった唇のあつい男が、本を読みはじめる。 「五十歳を過ぎたベラスケスはもはや事物を描こうとはしなかった。黄昏の光と共に事物の周辺をさまよい、物の影とおもてに息づく多彩な動機を、沈黙の交響楽の見えない核とした…

【細谷流文学講座オンラインコース】のお知らせ

2022年度後期講座全12回 Zoom使用<月2回 (土)10:30~12:00> 目下10人ほどで楽しみながら読んでいます。遅参も早退もご自由です。全日程でなく部分的なご参加も可能です。 ★まずは後期前半6回分の受講料9,900円か、ご参加回数分の振込をお願いいたします。…

英国流スノッブも佳(カ)と自惚れ鏡(キョー) …自称 茶半

英女王死去に際して、懐古的さらには憧憬的反応をTVやSNSで目にしますが、現代に至る連合王国の歴史、そのしたたかな動きには、あらためて冷静な評価こそ必要ではと思います。 英国が如何に狡知かつ強靭かは、東インド会社、アヘン戦争はもちろん、幕末騒擾…

人間生死、無一物、然りか。

ある方の、老後も学歴や権威に恋々とする人々への疑問と、人は結構「他愛なくて幼稚なもの」では、というコメントへの"反論"です。「自分は死ぬ時、一体、この世に何が残せるのか、自分に何が残っているのか」と書かれたのに対して。 <私見>私は、「人は無…

ヴァーチャル・サロン入会の弁

Facebookはむしろ、サロンではないか。 欧州貴族によるサロン、さらにはブルジョワ連のサロンが、権威や財力によって、虚栄や愛憎等々、鼻持ちならない俗臭、スノビズムと共にありながら、なお、人と人の出会いと交流を促し、あらたな広がりと奥行きをもたら…

祖国とは

私事を語れば、30年前降り立ったシカゴオヘアで、窓口の男に大学教師だろうと言われたので、なぜ分かったと訊くと、gloomyだからと看破されて以来、中西部の一点に引きこもったのですが、その間出会った年配の幼稚園経営者が、まこと親身に、帰るのが嫌なら…

にくまれ口

FBを始めて半年。内実はどうあれ、老年謳歌、熟年充実の日々の開陳、賛同応援、等々の絶えざる連なりの溢れる様を見て、溜息。 各々に経てきた場からの、確たる発言、誠実なる応答によるやり取り、討論等稀なることに。(何を余計な事を、ここはそんな場じゃ…

【野口悠紀雄か高橋洋一か】 円安加速と日銀金融緩和続行

円安加速、日銀金融緩和続行をどう考えるべきか。 友人が、野口悠紀雄氏のdiamond.jpの記事を送ってくれた。「日本のインフレ対策には「金利上昇の容認」が必要な理由、マクロ経済学で解説」https://diamond.jp/articles/-/309349また一方、高橋洋一氏の@jca…