hosoyaalonsoの日記

文学懐疑のダンカイ世代

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『嘔吐』を読む(35)──一時間後(3) 対〈存在〉であるよりも、対〈人間〉ではなかったのか

ロカンタンは、いわば〈祭りの後〉にいるのだ。 《この私は、本当の冒険を体験したのだった。細かいことはまったく思い出せないが、いろいろな状況の厳密な繋がりが目に浮かぶ。私はいくつもの海を渡り、いくつもの町を後にした。さまざまな川を遡り、さまざ…

『嘔吐』を読む(34)──一時間後(2)はたして「アウトサイダー」なのか

《市電の二階に若い女が吹きさらしのなかに坐っている。ドレスがまくれ、風をはらむ。雑踏した人と車の流れが、私と女とを遮る。市電は走り去って、悪夢のように消える。 往来する人でいっぱいの街路、まかせきったように軽やかに揺れうごくドレス、スカート…

「セルヴァンテスは、ドン・キホーテではなかった」

三島由紀夫の言葉である。 最初の本のあとがきで、私がそれを磯田光一の三島論中の言葉として誤記したことは既に書いたが、考えてみると、それは単なる誤認というより、どうやら私の裡にあった三島由紀夫に対する厭悪によるものだったようである。 評論集『…

明治3年の家族

浮世絵から狩野派を経て横浜絵を発想した洋画家 五姓田芳柳(ごせだ、五度姓を変じた)の次男五姓田義松の家族図。10歳でポンチ絵のワーグマンに師事したという筆使い。父芳柳に寄り添う面々、前妻、後妻、子ら。姿勢、表情、視線がそれぞれの胸中をあらわす。…

中也詩 遥奈の節付け

再聴、感心新たに。曲、歌唱、映像も。中也詩への、諸井三郎他「スルヤ」、大岡昇平らの曲付けは勿論だが、我等の若き同時代人、遥奈の節付け、歌唱も中々のもの。https://www.youtube.com/watch?v=99UnEyexXkY 中原中也「汚れつちまつた悲しみに」 #中原中…

BBC「テック企業トップが警鐘 AIで人類滅亡リスク」

BBC、毎日「AIで人類滅亡リスク テック企業トップが警鐘」2023年5月31日 チャットGPTトップらが ……★チャットGPTを開発したオープンAIのCEOまでが署名という。先日のヒントン博士の警告(NHK)についで、さらに。むしろ、一般素人の危惧をなだめるはずの連中が……