hosoyaalonsoの日記

文学懐疑のダンカイ世代

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ほんとうのもの──イデアへの希求

椎名麟三は、獄中で「ほんとう」を求めて、徹底して問い直したのだという。その結果、彼の見出したものは政治的信条ではなく、宗教的信仰であった。 目の前にある現実が不十分でいかがわしく、うそうそしいものと見えるとき、人はほんとうのものを求めようと…

リズムを捨て、ロジックを採った。

130年前、我々はリズムを捨て、ロジックを採った。いわゆる言文一致体の創出である。もちろん、これは暴言に過ぎない。 古言のリズムはなお各所に残り、またロジックも、欧文脈のそれ以前から、和漢文の論脈も堅持されてきたはずである。がしかし、それほど…

「つつましい」努力

《自分が相手とともにいて孤独だと思うときは、相手も孤独なのだと、なぜそう考える余裕をもたないか。それこそ、真の意味の「理解」ということでありましょう。》 ──福田恆存 はっとさせる言葉である。 我々の感性は己れの心身を拠点として自他へと向けられ…

宰相と国葬

国葬反対だが、安倍氏は志を有していた点で評価に値する宰相であり、死して大きな宿題を残したと考えるべきで、国葬であるか否かはもはやメディアのネタでしかない、との意見に対して反論。 然りともいえますが、政治はやはり結果責任であると思います。我々…

リベラルな議論と弔い

私は安倍氏に対して両評価があることは当然と思っています。 見方によっては、安倍氏は、自身の改憲論を貫徹するより、反対派や野党に配慮した政策をとり、社会的にも保護的な姿勢を見せた総理だったとさえいえるでしょう。 こと政治的評価については、様々…

恐るべき外圧

恐るべき外圧は、黒船来航ならぬ、西からのそれとして現れるのでしょう。その時の我々の慌てぶりは見たくないものです。 が、それが極東の島嶼に棲息する我々の生き方なのかも知れませんね。世界の大きな動きが遅れて伝わり、脅威の出現に急遽対処せんと、右…

はたして日本は

中国の内陸部と沿岸部の対比を単に貧富の差とすると、中国のイメージはだいぶ今の現実から離れてしまうと思います。 まず、中国に行って驚くのは、各地の多くの町が、それこそ巨大な都市となっていることです。北京、上海以外にも、重慶、天津、成都、南京、…

江戸時代のおわり

こうした池田信夫の指摘が重くのしかかってきます。逃れようもなく。無論、二次の大戦等を度外視して、がしかし、現時点の危機を大づかみに突き付けてくるのです。コロナも終わりホッとして、さて、などと言っている場合ではないぞ、と。 厳しい時代であるこ…

上海人

中国人留学生達に、上海人(シャンハイレン)をどう思うかと聞くと、即「好きではありません」という答えが返ってきます。じゃあ君たちは実際に上海人を知ってるのかい、と尋ねると、「知りません」と平気で答えます。 そこで私が「代々上海っ子という若者を知…

畏友の書いた本

長年の海外生活、北朝鮮、トンガ、そして上海での経験と見聞、さらにすぐれた見識を込めた一冊。 中には、次のような人間ドラマも。阿修羅のごとく、かつ哀れな一景。 《それからしばらくたって、仲間から牧野さん(仮名)が亡くなったという連絡がありまし…

ゴダールが死んだ。

『気狂いピエロ』の巻頭で、風呂に浸かった唇のあつい男が、本を読みはじめる。 「五十歳を過ぎたベラスケスはもはや事物を描こうとはしなかった。黄昏の光と共に事物の周辺をさまよい、物の影とおもてに息づく多彩な動機を、沈黙の交響楽の見えない核とした…

【細谷流文学講座オンラインコース】のお知らせ

2022年度後期講座全12回 Zoom使用<月2回 (土)10:30~12:00> 目下10人ほどで楽しみながら読んでいます。遅参も早退もご自由です。全日程でなく部分的なご参加も可能です。 ★まずは後期前半6回分の受講料9,900円か、ご参加回数分の振込をお願いいたします。…

英国流スノッブも佳(カ)と自惚れ鏡(キョー) …自称 茶半

英女王死去に際して、懐古的さらには憧憬的反応をTVやSNSで目にしますが、現代に至る連合王国の歴史、そのしたたかな動きには、あらためて冷静な評価こそ必要ではと思います。 英国が如何に狡知かつ強靭かは、東インド会社、アヘン戦争はもちろん、幕末騒擾…

人間生死、無一物、然りか。

ある方の、老後も学歴や権威に恋々とする人々への疑問と、人は結構「他愛なくて幼稚なもの」では、というコメントへの"反論"です。「自分は死ぬ時、一体、この世に何が残せるのか、自分に何が残っているのか」と書かれたのに対して。 <私見>私は、「人は無…

ヴァーチャル・サロン入会の弁

Facebookはむしろ、サロンではないか。 欧州貴族によるサロン、さらにはブルジョワ連のサロンが、権威や財力によって、虚栄や愛憎等々、鼻持ちならない俗臭、スノビズムと共にありながら、なお、人と人の出会いと交流を促し、あらたな広がりと奥行きをもたら…

祖国とは

私事を語れば、30年前降り立ったシカゴオヘアで、窓口の男に大学教師だろうと言われたので、なぜ分かったと訊くと、gloomyだからと看破されて以来、中西部の一点に引きこもったのですが、その間出会った年配の幼稚園経営者が、まこと親身に、帰るのが嫌なら…

にくまれ口

FBを始めて半年。内実はどうあれ、老年謳歌、熟年充実の日々の開陳、賛同応援、等々の絶えざる連なりの溢れる様を見て、溜息。 各々に経てきた場からの、確たる発言、誠実なる応答によるやり取り、討論等稀なることに。(何を余計な事を、ここはそんな場じゃ…

【野口悠紀雄か高橋洋一か】 円安加速と日銀金融緩和続行

円安加速、日銀金融緩和続行をどう考えるべきか。 友人が、野口悠紀雄氏のdiamond.jpの記事を送ってくれた。「日本のインフレ対策には「金利上昇の容認」が必要な理由、マクロ経済学で解説」https://diamond.jp/articles/-/309349また一方、高橋洋一氏の@jca…

不安とともに

円安が止まらない。銀行関係の専門も聞いたが、どうも不安が募ってくる。日銀は大丈夫、日本の産業もこれぐらいならばまだ、というのだ。 が、本当だろうか。少なくとも、影響を受けぬ余裕ある者は、大丈夫だ、たぶん、ということなのか。 経済面での不安と…

友の話

今日会った友人は、畜産学を学び、北海道で行政に携わり、定年後はJICAで4年間パラグアイに行き、畜産指導で活躍した人。 その後、息子のいる尾張に移住、さらに終の地として信州へ、と考えているという。見事な人生計画。 一病あれど息災、ならばこそ山間の…

危機に向けて

台湾有事が刻々と現実味を帯びてきている。来月の党大会を前に、米高官は5年後には大いに可能性ありと言い、他方、さらなる年数を要する核戦略均衡後に、との見立てもある。今後の情勢次第、また権力闘争次第だろう。 台湾は着々と備えていると見えるが、来…