どこまで行くか、息つぎながら、
痛み出だした手足かかえて、
滲みはじめた不安もらして、
どこまで行くか、わき目もふらず、
人であふれる、あの街の先。
むろん自明、と答えたもうな、
せめては笑顔ふりまきながら、
野越え山越え、もひとつこえて、
あの懐かしい顔さえこえて、
アダタラ山の彼方まで。
死ネバ死ニキリ、自然ハ
水際立ッテイル――
断ずるタカムラ・コータロウ、
自然の一部もがいて捨てて、
言われて気づく、我は人間。
消えろ、消えろ、しなびたローソク、
それでも消えぬ、したたかローソク、
それでも願う、ひたすら祈る、
誰か頼むぜ、痛みなきよう、
お手柔らかに、などと言いつつ。
どこまで行くか、青息吐息、
かすみと消えた夢の残骸、
こぼれるままに両手にすくい、
どこまで行くか、思いもよらず、
ふと気が付けば、あの丘の上。
ドガ 自画像