hosoyaalonsoの日記

文学懐疑のダンカイ世代

どこまで行くか

f:id:hosoyaalonso:20221107225332j:image

どこまで行くか、息つぎながら、
痛み出だした手足かかえて、
滲みはじめた不安もらして、
どこまで行くか、わき目もふらず、
人であふれる、あの街の先。

むろん自明、と答えたもうな、
せめては笑顔ふりまきながら、
野越え山越え、もひとつこえて、
あの懐かしい顔さえこえて、
アダタラ山の彼方まで。

死ネバ死ニキリ、自然ハ
水際立ッテイル――
断ずるタカムラ・コータロウ、
自然の一部もがいて捨てて、
言われて気づく、我は人間。

消えろ、消えろ、しなびたローソク
それでも消えぬ、したたかローソク
それでも願う、ひたすら祈る、
誰か頼むぜ、痛みなきよう、
お手柔らかに、などと言いつつ。

どこまで行くか、青息吐息、
かすみと消えた夢の残骸、
こぼれるままに両手にすくい、
どこまで行くか、思いもよらず、
ふと気が付けば、あの丘の上。

                                                        ドガ 自画像