hosoyaalonsoの日記

文学懐疑のダンカイ世代

不安とともに

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円安が止まらない。
銀行関係の専門も聞いたが、どうも不安が募ってくる。
日銀は大丈夫、日本の産業もこれぐらいならばまだ、というのだ。

が、本当だろうか。
少なくとも、影響を受けぬ余裕ある者は、大丈夫だ、たぶん、
ということなのか。

経済面での不安と、安全保障面での不安、またエネルギー供給上の不安。
それらはどれも対外的に深刻な事態へとつながり、死活問題ともなる。
最悪の場合は国際紛争へと向かい、
また、向かわれるまでに、
あらがいようもなく。

「戦争反対」とまっとうな主張を高らかに謳う大人達、彼等も、
たぶん大丈夫なのだろう。
一国内での「平和」と「民主主義」ではとうてい応じきれない事態になっても。

「平和」のために悪政に立ち向かい、「民主主義」のために正義を説く、自信に満ち
余裕ある人々は、たぶん。
そんな余力もなく、生活に追われる者たちとは違って。

余裕も、謳歌すべき生活も持たぬ者の姿は、見えてこない。
己れのそれも、はたして。

が、ドアを開ければ、街路はいっせいに匂いはじめる。
「ヨードホルムと馬鈴薯をいためる油脂と精神的な不安と」(リルケ)、ともに。

それらの匂いを嗅ぎわけながら、呟く声が聞こえてくる。

――生きることが大切だ。とにかく、生きることが何より大切だ(同)

と。