hosoyaalonsoの日記

文学懐疑のダンカイ世代

2021-07-15から1日間の記事一覧

三島由紀夫「遠乗会」論 ―幻滅と優雅、ラディゲ・大岡昇平に比しつつ―

青年期、私は三島文学を敬遠していた。理由は二つあったが、両者は相通じてもいた。第一に、当時私は大江健三郎に夢中になっていたので、三島を受け付けなかったのである。全作を読破したと嘯く三島愛好者が傍にいたことも私の反発を助長した。第二に、私に…

秋山駿の思い出 ―真剣勝負―

小林秀雄は、作家の断簡零墨に至るまですべてを読め、と言った。吉本隆明は、どこでもよい、自分の気になる所を読んだだけでその本がダメかどうかを判断してよい、とまで言い切った。 むろん、どちらも真であり、また、ハズレでもある。すべてを読もうとする…